ベジタリアン・ビーガンをやめた理由:やっぱり菜食は不健康!?

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ベジタリアンになったけれどやめてしまう人の割合は、84%にのぼるそうです。これは、動物保護団体に研究を提供している団体のアメリカのヒューマン研究評議会(Humane Research Council )の研究結果です。

ベジタリアンやビーガンの食生活に取り組んだ人のうち、3ヶ月以内に3分の1が元の食生活に戻り、半分以上が1年以内に雑食(肉食)に戻ってしまうそうです。

アメリカの研究結果ですが、これは納得の結果であり、日本にも当てはまるでしょう。

ベジタリアンをやめた理由

ベジタリアンになろうと試みたけれど、挫折し以前と変わらぬ食生活に戻ってしまう人が多いのは事実です。日本でどのくらいの割合の人がやめてしまうのか詳細なデータはありませんが、もしかするとアメリカより多いかもしれません。

では、なぜベジタリアン、ビーガンの生活を続けられない人が多いのでしょうか。

菜食をやめる主な理由をご紹介します。

1. 人間関係が悪くなる

これが一番、ベジライフが辛くなる理由ではないでしょうか。

食事の時間がコミュニケーションの場であることはほとんどの人に共通します。歓迎会、忘年会、送別会、いろいろな場面でレストランや居酒屋が使われます。大人になって友人と会うといったら、だいたいランチやディナーをしたり、お茶をしてスイーツを食べたりしながら語らうことではないでしょうか。子供のように、遊ぶだけ(スポーツやおしゃべりなど)なんてことは珍しいですよね。

そんなときにメニューを見て、「私はベジタリアンだから…〇〇は食べないし、□□も食べないし...」なんて言ったら、相手は困惑します。団体の中でただ一人のベジタリアンとなってしまったら、更に肩身が狭くなり、参加するのも嫌になってしまうかもしれません。すると、「付き合いの悪いヤツ」なんてレッテルを貼られて、誘ってもくれなくなる...なんてこともあるかも。

これは、ベジタリアン、特にビーガンになろうとした人の多くが経験することで、ここで耐えきれずギブアップして、元の食生活に戻ってしまいます。

ベジタリアンのライフスタイル自体が嫌になったり、合わなかったりではないので、とてももったいないですね。

人間関係をすぐに変化させることはできません。そんなときは、外食など誰かと一緒に食事をする時は、厳密に制限せずに「出来る限りの選択をする」と決めてしまえば、気が楽です。入ったレストランに偶然ベジタリアンやビーガン向けのメニューがあったら喜んでそれをチョイスする。なければ、お肉やお魚のメニューであっても自分がいいなと思うものを選ぶ。そして、自宅での食事はベジメニューを楽しむ。

家族や他の誰かと住んでいるなら、その人に理解してもらうのが大事なポイントです。相手に強要するのはNG!ただ、自分の気持ちとこれからの選択を話すこと。納得してくれるかは別として、知っておいてもらうことで、楽にベジライフを満喫できるかもしれません。前もって、厳しく反対される…とわかっていたら、最初のうちはあえて言わないのも一つの選択。「反対されている」これだけでストレスになってしまう可能性もあるからです。そんな場合は、一人暮らしでもない限りなかなか菜食を実践するのは難しいかもしれません。しかし、自分ひとりの食事や気心の知れた友人などとの食事の場面で意識してベジメニューを選べればいいのではないでしょうか。

そして、長年菜食生活をしていると、相手の反応は気にならなくなってきます。また、自分の選択に自信を持てるようになってくると、周りも「そういうものだ」と不思議と受け入れてくれるようになります。ここまでくれば、人間関係を理由にベジタリアンをやめる必要はないでしょう。

2. 我慢ができなかった

お肉やお魚の料理はとにかく美味しいです。認めます。とても美味しい。

もともと好きじゃないという理由でベジな生活をしているのならいいのですが、「焼肉大好き!」「オムライス最高!」な人が、ベジタリアン、特にビーガンになろうとすると必ずと言っていいほど「我慢」を強いられます。

私もはじめは、お肉料理の「味」が嫌で菜食中心生活をはじめたわけではないので、最初は正直「我慢」の連続でした。家族が美味しそうに豚のしょうが焼きを食べているときは、「食べたーい!」と心のなかで叫んでいました。

この「我慢」をしなくてはいけなくなる人のほとんどが「健康」を意識して菜食をはじめた人だと思います。

「動物性食品はカラダに悪いし...でも、人生楽しまなくちゃ!食べよう☆」となるのです(汗)

これが、動物保護の観点からベジタリアンになるとちょっと違ってきます。味が美味しいのは知っているけど、「このお肉があの愛らしい動物だと思うと...食べたくない!」となるので、継続する人が増えます。「人生を楽しむ」=「お肉を食べること」ではなくなってしまうのです。

現代は知りたいと思ったら様々なことを容易に知ることのできる時代です。もし、菜食を続けていきたいと思うなら、一度、自分の目の前にある動物性食品がどのような過程をへて今ココにあるのか調べてみるといいかもしれません。その代わり、不明確だったり虚偽の情報があふれているのも事実なので、すべての情報をうのみにせず、あなたの中にある感覚を信じて冷静に考えてみるといいと思います。

3. 不健康になった

「菜食生活をはじめて体調が悪くなった」これはそんなに珍しいことではありません。

この事実に対して、まず考えてしまうのが「動物性食品から栄養をとらなくなったから」ではないでしょうか。

でも実際は間違っていることが多いです。もちろん、体質的に植物性食品から栄養を吸収することができない人もいるかもしれません。そのような人に「ベジタリアンは健康的だ!不健康になるわけがない」とは言いません。

しかし、基本的に何でも食べる人たちは、メインディッシュにお肉やお魚料理という人が多いと思います。そして副菜や付け合せにお野菜料理でしょう。

そのような食生活の人が、いきなり動物性のものをすべてなくして植物性の食品だけで生活しようとすると、十分な量を食べることができず、栄養失調になってしまうかもしれません。ただのエネルギー不足なのに体調不良と勘違いしてしまうケースは多いと思います。

もし、早急に動物性食品の摂取を控えようと考えるなら、栄養のとり方について書籍やインターネットでしっかり調べたり、実際にそのような生活を送っている人に話を聞いて、注意すべき点をアドバイスしてもらうといいでしょう。

また、動物性食品は体の中に溜まりやすい飽和脂肪酸が多く含まれています。その為、今まで溜めるモードの体だったとも考えられます。このような場合、野菜や穀物、果物を中心にした食生活にシフトすることで、消化吸収がスムーズになりデトックスモードの体になると、溜まっていた老廃物を体外に出そうとします。すると、だるさや頭痛、眠気、鼻水や痰といった風邪の症状に似た状態になることもあります。これは「好転反応」と言われています。私は、医学的知識があるわけではないので、詳しくお伝えできませんが、自分の経験でお話すると、ローフード生活を実践していたときに「だるさや眠気、そして歯痛」に数日悩まされました。しかし、その時期を乗り越えてからの体の軽さ、頭のすっきり感は爽快でした。

この好転反応はある人ない人、短い人長い人、人それぞれです。それまでの食生活や体質によって変わります。これは私の経験談ですが、急激な食生活の変化では、体も大きな変化を伴うと思います。もし、好転反応かな?と思われる症状に悩まされたら、一度もとの食生活に戻ってみて、少しずつ変えるようにしていってはどうでしょうか。

例えば、1ヶ月は朝食だけベジフードにする。ある程度経ったら、ランチかディナーもベジに。菜食生活に慣れてきたら、ローフードやファスティング(断食)にも挑戦してみる。

もし、楽にデトックスをしていきたいのなら、「徐々に」が大切なポイントだと思います。

4. 完璧を目指してしまった

「完璧主義」な性格の人は本当に損をしますよね。私自身がそうなので、とてもよくわかるんです。もちろんすべて完璧に成し遂げてしまう人ならいいのかもしれません。しかし私の場合でいうと、際立って器用でも秀才でもないのに性格的にいろいろな場面で「完璧」を求めてしまうので、継続できなかったり、すぐ悩みにしてしまったり、困ったものでした。歳を重ねていくうちに、この性質はだいぶましになり、いい意味で「適当」になってきて、本当に楽です。

ベジタリアン、特にビーガンの考え方を忠実に貫くのはとても困難です。食べ物についてだけであっても完璧に植物性にするのは難しいにも関わらず、生活に関わるものすべてを動物に関わりのないものにするのは現代では不可能と言ってもいいでしょう。例えば、植物性のタンパク源として日本では代表的な「納豆」であっても、タレに動物性の原料が使われているだけでなく、納豆菌の培養に動物性のエキスを使用する場合があり(製造元によって異なるので、ビーガン納豆は存在します)、完全に植物性とは言えません。極端な例だと、精密機器用潤滑油には鯨油が使われることが多いようです。普段大活躍してくれているスマホやタブレット、パソコンも厳密に言えば「ビーガン」ではないかもしれません。

上の例のようなことまでは意識になくとも、「完璧」を目指して菜食に取り組むと、少し乳成分を含んだスイーツを食べてしまった…、家族と食べた鍋料理でお肉のエキスを飲んでしまった…、このようなことで、「自分にはベジ生活は無理(泣)」となってしまいかねません。

そんなときは、なぜ動物性食品の摂取を控えたいのか、立ち止まって思い出してみましょう。「健康」であっても「何かを保護したい」という気持ちであっても、どんな理由であっても、何かを良い方向へシフトしていきたいという思いであるなら「完璧」を求める必要はないはずです。何かを守りたいのならなおのこと、自分の心身が健康でなくてはなりません。ココロにもカラダにもストレスのない生き方を選べたらいいですよね。

週に一日でもいい。少しでも自分の思う優しい行動がとれたら、それだけでも自分を褒めてあげてほしいです。

5. 孤独感

これは、最初に挙げた「人間関係」にも関連することですが、少数派になるということは「孤独感」を感じるものです。しかも、身近に仲間が一人もいない状況だと特に感じてしまいます。自分のことをベジタリアンだと称する人が偶然にも身近にいたらとても心強いですが、まだまだベジタリアンは少数派なのでなかなかそうもいきません。

この孤独感は、いくら周りの人が菜食に理解を示してくれていても感じてしまうことがあります。1対1の食事の場面なら思わないことでも、集団での食事会において自分だけが別の料理だったり、最悪の場合ほとんど食べるものがない時は、周囲の人が何にも気にしていないような場合でも、自分だけなぜかひとりぼっちの気分。これは、きついです。

わたしも今現在、家族を含め頻繁に交流のある人間関係の中で、菜食中心の生活をしている人はいません(過去の友人を含めるといますが、なかなか会える機会がありません)。そのような状況の中でも、お肉やお魚を食べずに生活できているのは、それが当たり前になってしまったからだと思います。「当たり前」になるには、ある程度の期間が必要になります。この期間が過ぎるまでは、「孤独感」と戦わなくてはならないケースもあるでしょう。ここで耐えきれず元の生活に戻ってしまう人もいます。

この「多数派だと安心」という感覚をすぐになくすことはできないと思います。そんなときは無理をせず、やはり柔軟に合わせていくというのが最善策でしょう。お肉やお魚は食べたくなくても、外食では卵や乳製品はOKにする。これだけでも選択の幅が広がり、孤独感から開放されるのではないでしょうか。いきなりベジタリアンやビーガンよりも、まずはフレキシタリアン(フレキシベジな生活は私のおすすめです☆)からのほうが、長く続けていけると思います。

(フレキシタリアンについてはこちら

6. 経済的な問題

お豆腐は200gくらいで200円前後。牛肉は200gで一般的な質のもので1000円前後でしょうか。ものによるため、厳密に比較はできませんが、比較的安価な鶏肉と比べたとしても、植物性の食品が「高い」とは言えません。

確かに果物は高価なイメージがありますが、旬なものであれば安く購入できますし、何より日本人の主食であるお米はリーズナブルにお腹を満たしてくれます。玄米をチョイスすれば、ミネラルや食物繊維、タンパク質もしっかり補うことができます(炊き方には心得が必要ですが)。

では、なぜ菜食生活にはお金がかかるとしてやめてしまうケースがあるのでしょうか。

1.オーガニックにこだわる

菜食生活をしようと考える人の大半が、「健康」でありたいと願っています。もちろんベジな人でなくても健康は大事にしていると思いますが、食を制限するという具体的行動をとっている人は特に「安心安全な食材」を選んで、健康になろうという思いが強いはずです。

そうなると、ベジタリアンな食生活になった瞬間、これまで気にしなかった農薬・添加物・放射能汚染などに関して敏感になってしまいます。野菜はオーガニックで、産地も明確でないと気が済まない。産地も不明で無農薬でもない食材を食すとすぐに体調不良になってしまう気がする。(ただし、化学薬品に敏感なアレルギーもあるので、気にしすぎとは言えない人もいます)

このようになってしまうととても食費がかかります。オーガニックの食材は生産コストがかかるもので、さらに供給量も少ないので、必然的にお値段が高くなります。無農薬の果物は野菜以上に高くなり、無農薬りんごは旬の時期でも1玉300〜400円くらいはするでしょう。ご褒美にパティスリーで買うスイーツのようです。

そこで、ベジタリアンはお金がかかるからやめる。と言うのはちょっと早まりすぎです。もし、お肉やお魚、卵や牛乳の質にこだわって買い物をした場合はどうでしょうか?

多くの家畜動物がたくさんの抗生物質が投与されたりや遺伝子組み換えの材料で作られた餌が与えられたりして、決してカラダに優しい食品を作るために育てられてはいません。もちろん、こだわりを持って畜産業を営んでいる方もいます。ですが、そのようなお肉はオーガニック野菜と同じように高価になります。

卵でいうと、無投薬で餌にもこだわり、平飼いで育てていますという卵は、1個50〜100円はします。10個で100〜200円が一般的だとすると倍以上するのです。

もし、ベジタリアンを選択してすぐにオーガニックにもこだわり食費が増えて大変という人は、あまり質にこだわり過ぎず、その地域の一般的なお値段で買える食材で菜食をしてみてはどうでしょうか。

きっと、動物性の食品を食べていたときよりも食費が減ると思いますよ。

2.加工食品をよく使う

ベジタリアンの加工食品は、まだまだ一般的ではなく、日本では健康食品店やネットショップでないといろいろな種類のものを購入することはできません。しかも、お値段が高い。需要がまだまだ少ないので仕方がないのですが、料理をする時間がなかったり、苦手意識がある人にとっては加工食品はとても強い味方ですので、できればもう少しリーズナブルになってほしいですよね。

これからもっとベジな人が増えていけば実現されるでしょう。

では、今のうちはどうすればいいのか?

とにかく、割安になるものを大量に買って利用する!冷凍する!!

これに限りますね。これはネットショップで実現できます。ベジタリアン向けの食材も業務用サイズのものがあるので、半月分や1ヶ月分と思って購入すれば、月の食費は抑えられると思います。

3.外食が多い

ベジタリアン・ビーガン向けのレストランは今どんどん増えています。外食好きの人が、ベジタリアンになってベジ向けレストランで外食を続けると、ちょっと食費が増えたかな?と思う人もいるでしょう。

なぜならベジタリアンやビーガン向けのレストランは、食材はオーガニックを使用するなどこだわっているところが多いので、お値段が高いのです。その割に量が少ないことも多いため、デザートなども入れると、気軽に行ったランチで2000円なんてこともあります。

これは、外食を減らすか、できるだけお安く菜食料理を食べられる場を探す努力が必要ですね。

ですが、これはお肉を食べていた時代にはよく牛丼屋に行った、ハンバーガー店でよく食べていたという人に当てはまることで、レストランで食事をしたら菜食でなくてもある程度費用がかかります。

ベジタリアン向けのメニューがあるでファストフード店はまだ少ないので(海外ではあの有名なハンバーガー店Mでもベジタリアン向けのメニューがあります!日本ではモスバーガーにありますね☆)食事を見直すいい機会になると思って、お弁当を作ったり、外食は特別なときだけにするようにしてみるといいですね。

ベジタリアン挫折経験談

実はそんな私も8年間で2度も菜食生活から離れた経験があります。

主な原因は、「人間関係」。詳しくは別の記事でお伝えしようと思います。

できるだけ植物性のもので暮らすこと。今の私にとっては悩みのタネではなく、自然で嬉しい選択です。

とても回り道をしましたし、これからもどのようになっていくのかわかりませんが、2年ほどベジタリアンの生活をしていて思うのは、どんな小さなことでも自分なりの「愛」を持っての選択に、無駄なことなどないな〜という気持ちです。