ベジタリアンな生活を始める理由は人それぞれ。
そして、続けるかやめるかも人それぞれ。
今現在、長年菜食生活をしている人が、一生ベジな生き方を続けるかの保証もありません。
逆に言えば、今はお肉が大好きで、焼肉屋に行けなくなったら生きていけない(泣)という人が、今後ベジタリアンの選択を絶対にしないとも言い切れません。
ベジであるかないか、この点は一度この世界のことを垣間見てしまうと今自分がどんな生活をしていようと、なんだか気になってしまうものです。それだけ「食」というのは人生における大きな部分を占めているのでしょう。
何かのきっかけでベジタリアンの選択をした人は、何も考えずお肉やお魚を食す人を悪魔のように思ってしまったり(倫理的な理由でベジ生活をしている人には多いケース)、ベジだった人がベジをやめたら、ベジ生活のデメリットを頑なに主張したくなってしまったり、なぜだかとっても対立的な排他的な気分に陥ってしまう人も多いです。
そのような状況が、菜食主義となってもそのことを隠したいと思ってしまったり、またベジ生活に興味を持っても今一歩踏み出せなくしてしまう理由ではないでしょうか。
しかし、ベジタリアンな生き方を選択することには、資格も必要なければ、規則もありません。どこかの協会に年会費を払わねければいけないわけでもないのです。
では、ベジタリアンを選択する人のきっかけは何なのでしょうか。
私自身の経験も交えて、お伝えします。
ベジ生活を始める理由

1.健康
私が初めて菜食中心の生活をするようになったのは8年前。
理由は、「健康になりたい!」この一点張りです。
当時、学生だった私は、ひどい生理不順に悩まされていました。無排卵月経による頻発生理、はたまたストレスによる無月経を繰り返す。それでも、2か月以上生理が来なかったことはなかったので、6年くらいはなんとなくやり過ごしてきていました。
しかし、ついに3か月以上生理が来なくなってしまったのです(汗) 妊娠の可能性はないし、過激なダイエットをしているわけでもない。
なぜ?なぜなのー!!??
焦りに焦った私はインターネットで調べまくり、自力で体質改善をしようと考えました。どうしても婦人科を受診したくなかったのです。(これはとても悪い例ですね…気になることがあったら薬を使う使わないは別にして、一度医師に相談しましょう。)
その時に発見したのが、マクロビオティックの創始者である 桜沢如一先生 が提唱した半断食による健康法「七号食」です。これは、10日間玄米だけで過ごしてカラダの中に溜まった老廃物をデトックスするというもの。
半断食のおかげで、断食終了後数日で、私の生理は再開しました。しかもお決まりだった生理痛もなく、快適になったのを覚えています。私が取り組んだ期間は10日ではなく5日ほどでしたが、目に見える効果に驚き、感動しました。
それから、七号食がきっかけでマクロビオティックを知り、書籍やインターネットで情報を集め、半年ほど徹底して取り組みました。
このように、菜食を始めたきっかけが「健康」であることは多いようです。「玄米菜食」と聞くだけで、カラダに良さそうだと思いませんか?
2.動物保護
これは、普段特に意識せずお肉やお魚を食べている人が一番過剰に反応し、反論したくなってしまう理由ですね。
ですが、目を背けたくても現実は変わらないのも事実…。肉や魚を食べるためには、何をしなければならないでしょうか?
そうです。動物を殺さなくてはなりません。生きたまま食べることはできませんし、たとえそれができたとして、食べれば死んでしまいます(踊り食いはその例)。
この「動物を殺める」ことに対して、人それぞれ考え方が異なるので、ちょっとした対立になってしまいます。
例えば、私の母は「ありがとうって気持ちで頂けばいい」という考えです。「感謝して食べましょう」これはよく聞く文句ですね。
これに対して、「感謝されても動物だって殺されたくないよね?」と突っ込みを入れてしまいたくなるのが、動物保護の観点からベジライフを選択している人たちです。
私は、最初「健康」のために菜食を選びましたが、その後いろいろな情報を見聞きするうちに畜産業の痛ましい状況を知り、動物保護の観点からも肉食が減っていくことを望むようになりました。今は、ベジライフを選択する重要な目的の一つになっています。

3.環境保護
「肉食をやめることがなぜ環境保護につながるの?」と思ってしまいますよね。私ももちろんその一人でした。
一見、何のつながりもなさそうな畜産と環境は、実は密接に関わっているのです。
一番わかりやすいのは、飼養されている動物たちの糞便問題。これは、農林水産省のサイトにも載っていることです。
我が国の畜産は、食生活の高度化等を背景として大きな発展を遂げてきました。
しかし、農家当たりの飼養規模の拡大や地域における混住化の進行、環境問題への関心の高まり等を背景として、家畜排せつ物による悪臭や水質汚染といった環境問題の発生がみられるようになりました。
このように畜産経営に伴って発生する環境問題を「畜産環境問題」と呼んでいます。
畜産環境問題の発生は苦情の発生状況と深い関係があります。
引用元:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/t_mondai/01_mondai/index.html)
排泄物による水質汚染は、20年以上前から問題視されているようです。
糞は堆肥になるからいいのでは?と思うでしょう。確かに、人も含めてどんな動物の排泄物も堆肥になります。
しかし、不自然な量の糞便は、すべてを適切な形で堆肥にすることはできず、腐敗し、有毒な微生物を増殖させる原因となってしまうのです。コストがかかるため下水道に流し処理する方法はとられません。
この水質汚染により、魚が死んでしまうだけでなく、病気の魚を人間が食すことにもつながるのです。
tなお、肉食が環境に与える影響を減少させるために、ベジタリアンの選択をする人たちがいます。
4.飢餓削減
2017年、国連が発表した世界の飢餓人口は、8億1500万人に及びます。これは世界人口の約11%。10人に1人以上の割合で今まさに食べるものがない人たちがいます。
これは、食料不足によるというよりも、戦争や不公平な食糧配分によるものだと言われています。なぜなら、今現在、世界で生産されている食料の量は、全世界人口を養えるだけの十分な量があるといわれているからです。
しかし、ベジライフを選択する人の中には、菜食が飢餓の削減につながると主張する人が多いです。
牛肉 1kg を生産するために必要な穀物は、11kg。
鶏肉 1kgでも、およそ 3kg の穀物が必要なのだそうです。
肉を生産するためでなく、穀物を直接食べた方が、たくさんの人のお腹を満たすことができることは、この数字からもわかります。
現在の食料生産量は、世界の全人口を養える量があるらしいと先に書きましたが、肉という生産にも輸送にもコストがかかる食料から、家畜ほどコストがかからず、輸送もしやすい食用穀物の生産が増えた方が、食料分配がしやすくなるのでは?とも考えられます。そのような観点からも、菜食の利点の一つに飢餓人口の削減を挙げるのも無理やりな視点ではないと言えるのではないでしょうか。
しかし、飢餓については戦争・不公平な貿易などがなくなることが最優先であることに変わりはないですね。
5.宗教
やはり今でも多くの人が、心のどこかで “ベジタリアンの人は何か信仰してるのかな?” むしろ、ベジタリアン自体が宗教!?ビーガン教??なんて思うかもしれません。
私自身も「お肉を食べないのは宗教か何か?」と聞かれたことがあります。その人は、海外留学の経験もあって、道徳的理由によるベジタリアンやビーガンの人との関わりを持ったことがある人でしたが、やはりまず思い浮かべた理由だったのでしょう。もちろん、「最初は健康がきっかけで、今では私なりの倫理観のためでもあります」と話したら、すんなり受け入れてくれました!
日本で親しみのある「仏教」では基本的に菜食をすることが好まれていますよね。精進料理は有名です。すべての生き物に対する慈愛の精神が仏教にはあるのでしょう。しかし、肉好きのお坊さんもいるようなので禁止では無いようです。(宗派によって異なる)
宗教的な理由で菜食をしている人は確かに多いです。というより、世界の菜食人口のほとんどが宗教的な理由に基づくのかもしれません。しかし、きっかけが何かへの信仰心であったとしても、不必要な殺生は避けるべきだとする精神があるのならば、動物保護など倫理的理由による人と大きな差はないのかもしれませんね。

ベジタリアンは特別じゃない
このように、動物性食品(製品)の摂取(使用)を減らす理由は多種多様です。その中でも、近年菜食人口が増えている理由は、「健康」もしくは「倫理観」によるものがほとんどでしょう。
アメリカでは、ここ10年ほどで6倍以上ビーガン人口が増えているそうです。イギリスでも5年で3.6倍!それも、ビーガンが増えているというのがポイントで、やはり健康のみならず、動物保護などの観点からの菜食が増えているということでしょう。
もちろん今でも宗教的理由による菜食主義者は多いです。宗教自体は何も怪しいものではなく、人の文化歴史の中で重要な位置にあるものだと思っているので、「何か信仰をしているの?」と言われることに私自身は特別な拒絶感を持っているわけではありません。
しかし、動物を食べることは人間として当然のことで、菜食を心がけて生きることは何かへの信仰心があるような特別な人(特に日本では何らかの信者は少数派ですよね)の選択だという意識となってしまうのはもったいないな…と思ってしまいます。もちろん菜食が一番素晴らしい!!と押し付けのようなことを言いたいのではなく、固定観念によって「菜食ってどういうものなのだろう?」と考える機会が奪われてしまい、選択肢の一つにもならないのは残念に思ってしまうのです。
そして、ベジタリアン=健康オタクのような偏ったイメージも同じですね。特に男性がこのように考えていると、なかなかベジタリアンになろうと思える機会は減ってしまいそうです。女性の場合は、美容やダイエットでも菜食を意識する人が多いので、入り口は広そうです。かく言う私も女性特有の悩みが菜食との出会いでした。
立派な理由は必要ない
何かをする目的・理由を、一つに絞る必要はありません。これはベジライフを送る上でも同様で、「健康のためであり、さらに動物の搾取を減らせたらいいな」というように複合的でもいいのです。そして、立派な理由もいりません。「なんとなくビーガンフードが好きだから」これもいいですよね!取り組み度合いも人それぞれ。ベジタリアンに上も下もありません。
もし、あなたがこれから動物性食品(製品)を意識的に控えていこうと考えているなら、明確な理由を考えるより、自分がする選択が心地いいかどうかを感じ取ればいいと思います。
「これを食べたら心も体も癒されるな〜」
「殺生せずに過ごせるなんて幸せ♪」(ここでは「植物も生きてる論」はとりあえず置いておきましょう)
こんな感じで!
ベジタリアンをはじめる理由にカッコ良さも綺麗さも必要ありませんね☆
